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赤い実が存在価値のクロガネモチ

クロガネモチはどんな環境でも丈夫に育つために街路樹でよく見かけます。花の少ないこの時期に真っ赤な実をたくさん付けますので人気があります。
クロガネモチは雌雄異株でオスの木とメスの木があり、実の付けないオスの木は商品価値ゼロで、市場で見かけることもありません。採卵用のひよこのオス・メス識別で、オスと判定されると即処分されるのと同じです。

一般的な植物の花はおしべとめしべの両方を持っていて昆虫等で受粉します。これだと確実に種子を残せますが、自家受粉した子供は親と同じ性質ですので、環境が変わったときに病気にかかりやすく全滅することもあります。そのために、植物は自分の花粉以外の花粉で受粉して、多様な子孫を残そうとします。その極めつけが雌雄異株といわれる植物で、オスの植物とメスの植物は別です。雌雄異株のイチョウはメスの木の近くにオスの木がないと受粉できないためにギンナンはとれません。

よく考えると、街路樹の赤い実を付けるメスのクロガネモチは近くにオスの木がないのに、どうして実を付けられるのでしょうか。雄花がなくても結実するのか、他の植物の花粉でも受粉するのでしょうか。
そうなると、オスのクロガネモチの存在価値はどこにあるのでしょうか。オスクロガネモチが不要なメスクロガネモチは、まさしく「苦労がネー・金持ち」。

今日は24節気の「大雪」、雪も降りだし冬が本格化する時期になりました。
指宿スカイラインの通行状況を鑑み、来春までしばらくの間休園します。

少しでも・・

桂造園と桂花園は伐採した樹木を森林ボランティア団体に進呈しています。森林ボランティア団体は、樹木を炭や薪にして販売し活動資金に充当しています。
最近、コロナの影響でキャンプ場用の薪の需要が高く、トラックで運んでいくと、いつも喜ばれます。
炭焼きの原木は広葉樹が向いており、そのことは当社も理解していますので、今回もすべて広葉樹の樹木でした。
少しでも、社会に貢献できればという社風です。

黄葉と紅葉

当園のモミジの葉っぱも秋の深まりとともに、黄葉そして紅葉してきました。
葉っぱが黄葉する理由は、もともと葉っぱには光合成を担う緑色のクロロフィルと光合成を助ける黄色のカロチノイドがあり、秋になり光合成の低下によりクロロフィルが分解されると、黄色いカロチノイドが目立ってくるので、葉っぱ全体が黄色に見えてきます。
葉っぱが紅葉する理由は、赤くみえるのはアントシアニンですが、アントシニアンの役割が、強い日差しを和らいでくれるとか、有害な活性酸素を抑えるためらしいですが、本当の理由は分ってないみたいです。
いずれにしも、理由はどうであれ、日本人は黄葉や紅葉が大好きで、鹿児島の人たちも垂水にイチョウを見に行ったり霧島の紅葉を見に行きます。
紅葉した樹木を見ると、日本人で良かったと思うことがあります。その神秘に思わず手を合わせたくなります。

季節を感じさせるハクサンボク

当園には、いたるところにハクサンボクが自生しています。
今、ハクサンボクの赤い実が鮮やかです。この実は食べられます。
ハクサンボクは1年を通して季節感を楽しませてくれる常緑樹ですので、庭木としても人気があります。
春は新緑の枝先に小さな白い花をたくさん咲かせます。この花には独自の香りがあります。
夏は緑の葉っぱが光沢を増します。
秋は真っ赤な実が小鳥たちを呼びます。
冬は紅葉します。
ハクサンボクは育てやすい木ですが、環境に恵まれると大きくなりすぎますので、小さいお庭や玄関先のワンポイントで植えると剪定が必要になります。
当園のシャクナゲ園には多くのハクウンボクがあります。ハクサンボクとハクウンボクとどっちがどっちと迷うことがあります。老人性痴ほう症です。

 

秋の味覚 うんべ

私の周りの人は皆、うんべといいますが、うんべは方言で、正式にはムベというそうです。ムベを漢字で書くと「郁子」、郁は香りがいいことを表し、子は実のことで、良い香りの果実ということです。ムベは昔は皇室に献上されていた高貴な果実です。
うんべに似たアケビは、葉っぱはうんべより小さく冬になると落葉します。また、アケビの実は熟すると皮が縦に裂けますので分かります。
私の小さい頃は、おやつはお店で買うものでなく、野山でいただく(調達する)ものでした。この時期は、山の木に登りうんべの実をちぎりポケットに詰め込み、歩きながら食べて種をペッペッとまき散らしたものでした。今考えると、うんべの播種計画に基づき、忠実に種まきを実行していたんだと懐かしく思い出しました。
過日、美味しくいただいたうんべは、食べたあとの皮と種は燃えるゴミの日に生ごみで出しました。

パンジーとビオラを長く楽しむために。

今日は二十四節気の霜降、さすがに霜の降りる時期には早いですが、季節は秋も終わる頃で、これからモミジも紅葉していきます。
これから寒くなると寂しくなる花壇に無くてはならないのがパンジーとビオラです。パンジーとビオラは、霜にも負けず病害虫にも強いことから育てやすく、昔は三色スミレといわれ原色がはっきりした花でしたが、近年ではいろんな品種が出てきたことから、この時期No1の花です。
パンジーとビオラを長く楽しむためには、肥料、日照や水やりが大切ですが、それ以上に大切なポイントは花がら摘みです。
植物は花が咲いた後、そのままににしておくと多くのエネルギーを使い種子になります。植物は花を咲かせることが第一でなく、種子を作り次の世代により多くの子孫に繋ぐことを最優先します。そうして、多くの種子を残した植物は「私の人生これで終わりー」と枯れていきます。逆にいえば、花は咲かせても種子を作れない環境にすれば、植物はいつまでも必死になり今後こそはと花を咲かせ種子を作ろうとします。そのために、花がら摘みが必要になります。花がら摘みは、花がらだけでなく根元の茎ごと、手でちぎるのでなくハサミで切ってください。
パンジーの花は食べられることをご存知でしょうか。パンジーの花はエディブルフラワー(食用花)としても人気があります。観賞用のパンジーの花は食べられないこともないですが、ポット苗のパンジーは出荷時に薬剤が使われているためにお勧めできません。料理やデザートに使いたい方は、専用の品種がありますので、そちらをお勧めします。インスタ映えするだけでなく、繊維質やビタミンも豊富みたいです。

蟷螂の斧

蟷螂の斧(とうろうのおの)とは、知っている人も多いと思いますが、中国春秋時代、カマキリが前足を上げてファイティングポーズをとり馬車を止めたことから、弱者が自分の力量をはるかに超えた強敵に立ち向かう姿で、読めても漢字で書けない故事です。

この前、園内を散策していると、交尾しているカマキリを見つけました。
メスカマキリはお腹がすいていると、交尾中でもオスカマキリを頭から食べることがあるらしいです。しかも、オスのカマキリは頭部を食べられても交尾活動を続けるらしいから不思議です。
オスのカマキリの献身的な愛にもほどがあります。私たちにはマネができません。
人とカマキリの違いは、人は家族のため社会のために生きることが絶対条件ですが、カマキリの絶対条件はただ子孫を残すことだけにあります。

蟷螂の斧の故事となる、馬車に乗っていた荘公は、「このカマキリが人間だったら天下を取るのだろうな」と話したそうです。
衆院選が本日公示されました。各党の政策論争は、コロナで疲弊した社会を「ばらまき合戦」で立て直すことがメインで、拉致問題やもりかけ問題等、国民が解決したい問題に立ち向かうカマキリ人間がどこかにいないのでしょうか。

すす病を引き起こす虫の驚くべき生態

先日、桂造園でお客様の庭を剪定していると、お客様から交通量の増加で排気ガスにより葉っぱが真っ黒になりましたと言われ、これはすす病という病気だと説明しました。
すす病の原因は、カイガラムシやアブラムシの分泌物や尿にはびこる黒いカビで、葉っぱが黒くなると光合成ができなくなり植物が弱ってきます。
すす病を予防するには、植物の風通しを良くすることと、カイガラムシやアブラムシの生態を知ることです。
今回はアブラムシの驚くべき生態を紹介します。
アブラムシはメスだけで子供を産みことができる「単為生殖」という生態で、春から秋までは卵でなく親のクローンのメスの幼虫を産みます。しかも、生まれてくる子供はすでに妊娠しています。人間でいうとお母さんが女の子を出産し、生まれてきた娘のお腹にはすでに孫娘が宿っている状況です。幼虫は10日ほどで成虫になりますので、あっという間に増殖します。
アブラムシは、植物に口針を挿入して養分を吸い取ります。少数なら構いませんが、繁殖して群れで養分を吸い取られると植物は弱っていきます。アブラムシはこれ以上繁殖できないと判断すると、今度は羽根のある子どもを産み、飛んでたどり着いた好みの植物で繁殖を繰り返します。
さらに、晩秋になるとオスと卵を産むメスが現れ、交尾して卵を産み、卵で越冬します。翌春生まれてくる幼虫はすべてメスです。
また、アブラムシはアリと共生関係にあり、アリの大好きな甘い尿を出してアリを味方につけて外敵から身を守ってもらいます。驚くべき生態です。
アブラムシを駆除するには薬剤散布が有効ですが、長期間アブラムシの発生を抑えることはできません。それよりアブラムシの完全駆除をあきらめて、天敵のテントウムシを利用した食物連鎖を考えた方が良いです。お庭の一画に天敵の住める環境を作るのことをお勧めします。

スズランを今年も植えました。

今年も4回目となる、かごしま環境未来館主催の地域まるごと共育講座を当園で開催しました。
今年のテーマは昨年同様「幸せを呼ぶ、スズランを植えよう」でした。
当初は9月4日に予定していましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止により、本日に延期されました。
昨年参加され、貴重な体験ができたと、今年も参加された方も多く、植え付け作業も手際よくできました。
鹿児島中央駅から送迎バスで参加された女性は、ここなら3密を心配することなく、久しぶりに深呼吸しましたと喜ばれました。

新型コロナウイルスの感染者数が日を追うごとに少なくなってきました。このまま収束すればいいのですが、しばらくはウイズコロナの時代が続くのでしょう。
行動制限やワクチン接種も大切ですが、私たちに出来ることはマスク、手洗い、体調管理等、一人一人面倒くさい努力しかなさそうですね。

ヒガンバナが満開です。

今年はヒガンバナが例年より早く咲きだし、今が満開です。
ヒガンバナは不思議というより、謎の多い植物です。
一部の農業大学や研究機関には2倍体のヒガンバナが存在しますが、国内のヒガンバナのほとんどが3倍体のヒガンバナです。3倍体があるということは、どかかに4倍体のヒガンバナが存在するか過去に存在していたはずです。
3倍体は普通の2倍体が減数分裂できないまま受精して4倍体ができて、2倍体と4倍体が交配して3倍体ができるらしいです。
3倍体の植物は、種子ができない代わりに大きくて病気に強く繁殖しやすいという利点があります。
私はヒガンバナがはるばる海を越えて日本に渡来した理由として、観賞用としてより食糧として持ち込まれたと考えます。
ヒガンバナの球根は有毒ですが、毒抜きすれば食べることができ飢饉の時は食べられていました 。
そして、日本に持ち込まれたヒガンバナはその有毒性から、田畑、川の土手、お墓に小動物よけとして有益性があったことから、日本中に分球を繰り返し移植されたのでしょう。