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グリーンモンスター

今、指宿スカイラインを走ると、クズ(葛)の花を見ることができます。
クズは秋の七草の一つで、クズの根は葛根湯や和菓子の原料になり、昔から上手に利用されてきた有用な植物でした。私にとってクズは、カンネとかカンネンカズラと呼び普通の雑草でした。しかし、近年私たちの生活環境の変化から、クズを利用しなくなると、繁殖力の強いクズは伸び放題になっています。
海外から日本に持ち込まれた、セイタカアワダチソウやオオキンケイギク等は、日本の在来種に影響をもたらしていますが、日本原産のクズはアメリカでそれ以上の脅威になっています。
クズは昔アメリカで、園芸の装飾や土壌流失防止のために積極的に植えられましたが、温厚な気候と天敵がいなかったこと綿花の衰退等により、他の植物を駆逐し、クズが巻き付いた林はクズの葉っぱで覆われて、グリーンモンスターと呼ばれています。また、高木がないところでは低木や草原を覆いつくし、クズしか生えないグリーンデザート(緑の砂漠)になっています。
このやっかいもののクズですが、ヤギはクズの葉っぱが大好物だそうです。ヤギの放牧にはいろいろ問題がありますが、まずはヤギ肉の食用が一般的になるかだと思います。
それより、クズからバイオエタノールを精製する方法が開発されています。バイオエタノールはカーボンニュートラルで注目されていますが、バイオエタノールの主な原料はサトウキビやトウモロコシで飢餓問題から反対する人もいます。
今後、技術開発でバイオエタノールのメインの原料がクズになる日もくるでしょう。

 

 

いっせいに咲くヒガンバナの謎

ヒガンバナはお彼岸の頃にいっせいに咲き、いっせいに枯れ、いっせいに葉っぱがでてきます。理由は昨年このブログで紹介したとおり、ヒガンバナは種ができず、球根が分裂して殖える(分球)植物だからです。分球した球根は親の遺伝子をそのまま引き継ぎます。ルーツをさかのぼると大陸から稲作とともに入ってきた時からヒガンバナの遺伝子はほとんど同じです。
ソメイヨシノと同じで、ソメイヨシノは江戸時代に染井村にあったオオシマザクラとエドヒガンの交雑種を職人が接ぎ木を繰り返し増やした花木で、日本中・世界中のソメイヨシノの遺伝子は同じです。だから、早咲き遅咲きもなく、サクラの開花宣言の標本木はソメイヨシノなのです。(ソメイヨシノが育たない沖縄や奄美地方ではヒカンザクラになります)
ちなみに、オレンジ色の花のヒガンバナの名前はキツネノカミソリで、黄色ヒガンバナの名前はショウキズイセン、白花ヒガンバナはショウキズイセンの交雑種といわれています。

今年もスズラン。

毎年恒例の、かごしま環境未来館主催の地域まるごと共育講座を本日開催しました。今年のテーマも「幸せを呼ぶ、スズランを植えよう」で、昨年植えたエリアに隣接する場所に、皆でスズランを植える予定でしたが、台風の影響か雨が降りだし、スズランを植える様子を見てもらうだけになりました。
昨年植えたスズランは春に可憐な白い花を咲かせ、その後子株を出しています。時々イノシシに荒らされますが、確実に増えてきています。
園内を散策している時は雨がやみ、散策しながらアジサイの剪定方法やヘクソカズラの名前の由来等説明しました。
ヒガンバナやソテツの不思議を説明すると、「へぇー」とメモされている人もいました。
このイベントに毎年参加されている夫婦から、来年も企画してもらい「スズランの群生地を作りましょう」と有難い提案がありました。