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井の中の蛙

来園されるお客様から「バラはどこにありますか」とか「チューリップはありますか」と、よく聞かれます。ありませんと答えると「それじゃあーお客は来ませんよ」とか「もっとお客様のニーズを調査した方が良いですよ」と、アドバイスしてくれる人もいます。
「現状で満足しているのなら 井の中の蛙 ですよ」と笑われました。
でも、私たちにはポリシーがあります。
桂造園の創業者は京都で修業しました。日本の庭園を代表する桂離宮などで造園技術を習得しました。京都の寺院の庭は総じてシンプルです。シンプルですが四季を鮮やかに演出し奥が深いです。だからこそ、京都の庭を見た人は感動し癒されます。私たちが目指すところはそこにあります。

井の中の蛙 大海を知らず
天の深さを知る
大海の鯨 井の中を知らず

市来農芸高校一行来園

本日、鹿児島県立市来農芸高等学校1年の生徒14名と引率の先生方が来園されました。
さすがに市来農芸高校の生徒さんは当園の樹木や草花に興味深々で、癒しを求めにくる一般のお客様とは違っていました。
とくに、シャクナゲ園の苔エリアでは、苔がフワフワできれいとの声をいただき、管理方法の質問や苔のアピール方法を提案してくれる生徒もいました。
来園してくれた生徒たちが、少しでも造園に興味を持ってくれたらうれしいです。

紅葉も楽しめるドウダンツツジ

ドウダンツツジは落葉低木樹で、春に咲くスズランに似た花もきれいですが、秋の紅葉も楽しめます。
春夏秋冬それぞれの趣を見せてくれるドウダンツツジを、小さなお庭ならシンボルツリーとしてお勧めします。
また、目隠しを目的とする生垣は常緑樹が一般的ですが、ドウダンツツジは小枝が密生しているため視界をさえぎってくれます。
私の知人でいつも花を飾っている人が、季節の花々がない時はドウダンツツジの枝を一輪挿しで飾っているといってました。ドウダンツツジの水揚げを、剪定ばさみで枝元に十字に割を入れておくと、夏場でも一か月もつらしいです。
ドウダンツツジは日本原産ですので日本の風土にもなじみ、花も色も白だけでなく、赤、ピンク、赤色に筋が入る品種があります。何よりも大きくなりすぎないことが一番です。

キングオブ雑草 オオバコ

雑草の定義はありませんが、私たちが生活するうえで邪魔になる草を雑草というのだろうと思います。
その雑草の中で最強な草はオオバコだと私は思っています。
オオバコは動物や車輪に踏まれる場所でよく見られますが、それでも生き残れる理由は、茎が縦に伸びず横に伸び、葉っぱに通っている5本の筋を葉っぱ全体でクッションとして守っているからです。オオバコを引き抜こうとすると葉っぱがちぎれ、スコップで掘り起こそうにも踏まれ続けた土はカチカチでスコップが入りません。
オオバコは好きこのんで環境の悪い場所を選んでいるわけではありません。動物や車輪の通らない場所では、背丈の低いオオバコは他の草との生存競争に負けるから、他の草が育たない「踏まれる」という場所でしか生き残れないのです。逆に、他の草が育たない「踏まれる」という場所を利用しています。
オオバコの種は雨に濡れると膨張してねばねばする性質で、踏まれた種は動物や車輪に引っ付き遠くまで運ばれていきます。
オオバコは昔から漢方薬として利用されており、咳止め、利尿作用、整腸作用、目の病気等に効果があります。
なお、満腹感を得られることからダイエットとして注目されているオオバコは日本原産でなく外国産のオオバコの種子です。

「雑草魂」は、踏まれても踏まれても立ち上がる草をイメージさせ、雑草イコール粘り強さを連想させます。「雑草魂」は日本人が好きな言葉の一つらしいです。
日本人はどんな時でもわがままを言わず、常に他人のことを気にかけ我慢します。そういう性格だからこそ、日本の人々は災害時においてもパニックにならず冷静に行動できました。戦後の食糧難の時でも下を向かず正直に生きてきました。キオスクには店員の目の届かない所にも商品が陳列してあります。落とした財布は交番に届けれられいます。これらは私たちが当然と思えることも、海外では不思議な光景だそうです。
明治初期に日本を女性一人旅したイザベル・バードさんは日本人の貧しくてもマナーの良さを絶賛しています。
オオバコと日本人が重ねて見えるのは私だけだろうか。

N-P-K

肥料には有機肥料と化学肥料があります。
有機肥料は枯葉やどうぶつの排せつ物を発酵させたもので、有機肥料を土壌に混ぜると、微生物が肥料に含まれる有機物を食べて分解し、その分解した養分を植物が吸収するため、速効性はありませんが長期間効くのが特徴です。
また、有機肥料を与えると微生物が活性化することから、通気性や保水性の高いふかふかの土になります。
化学肥料は科学的に合成された肥料で速効性はありますが、肥料が多すぎると肥料焼けをおこし植物が枯れることもあります。
野菜や花を植える時に何げなく施肥しますが、値段が高ければいいものでもなく、肥料にはいろいろ種類がありますので、植物にもコスト的にも理解して使用することをお勧めします。
肥料の袋には、N-P-Kの割合が必ず記載されています。製造メーカーにより、N-P-Kの順番が変わることはありません。
Nは窒素で、主に葉っぱを育てます。
Pはリン酸で、主に花や果実に効きます。
Kはカリで、主に根っこを育てます。
そのため、菜っ葉にはN、トマトにはP、根菜類にはKが収量アップに繋がることになります。
この3元素の他かにカルシュウムやマグネシュム等も植物の生育に必要になります。
肥料の袋に 8-8-8 と記載してあれば、窒素が8%、リン酸が8%、カリが8%ということで、20Kg入りの肥料だと、窒素・リン酸・カリがそれぞれ20Kg×8%=1600gとなります。
16-16-16の肥料は8-8-8の肥料の2倍効くことになります。
元肥は有機肥料で追肥は化学肥料を適量使うことがいいと思います。

コミカンソウ

コミカンソウは小さな草で、今の時期に葉っぱの下に小さなミカンを一直線にぶら下げた小枝を四方に出しているように見えます。
コミカンソウは伐根しやすいため毎年草抜きしていますが、翌年また生えてきます。スギナは地上部をちぎっても地下茎が残っているので、また生えてくるのは理解できますが、コミカンソウは今年こそ今年こそはと根気強く除草しますが、コミカンソウの生命力の方が優っているのかまた生えてきます。
コミカンソウは一本だけならかわいいお花ですが、コミカンソウだらけだとただの雑草です。

明日は二十四節気の寒露。寒露とは、「草花に降りる冷たい露」ということで、これから朝晩が冷え込み、木々の紅葉が始まります。

グリーンモンスター

今、指宿スカイラインを走ると、クズ(葛)の花を見ることができます。
クズは秋の七草の一つで、クズの根は葛根湯や和菓子の原料になり、昔から上手に利用されてきた有用な植物でした。私にとってクズは、カンネとかカンネンカズラと呼び普通の雑草でした。しかし、近年私たちの生活環境の変化から、クズを利用しなくなると、繁殖力の強いクズは伸び放題になっています。
海外から日本に持ち込まれた、セイタカアワダチソウやオオキンケイギク等は、日本の在来種に影響をもたらしていますが、日本原産のクズはアメリカでそれ以上の脅威になっています。
クズは昔アメリカで、園芸の装飾や土壌流失防止のために積極的に植えられましたが、温厚な気候と天敵がいなかったこと綿花の衰退等により、他の植物を駆逐し、クズが巻き付いた林はクズの葉っぱで覆われて、グリーンモンスターと呼ばれています。また、高木がないところでは低木や草原を覆いつくし、クズしか生えないグリーンデザート(緑の砂漠)になっています。
このやっかいもののクズですが、ヤギはクズの葉っぱが大好物だそうです。ヤギの放牧にはいろいろ問題がありますが、まずはヤギ肉の食用が一般的になるかだと思います。
それより、クズからバイオエタノールを精製する方法が開発されています。バイオエタノールはカーボンニュートラルで注目されていますが、バイオエタノールの主な原料はサトウキビやトウモロコシで飢餓問題から反対する人もいます。
今後、技術開発でバイオエタノールのメインの原料がクズになる日もくるでしょう。

 

 

いっせいに咲くヒガンバナの謎

ヒガンバナはお彼岸の頃にいっせいに咲き、いっせいに枯れ、いっせいに葉っぱがでてきます。理由は昨年このブログで紹介したとおり、ヒガンバナは種ができず、球根が分裂して殖える(分球)植物だからです。分球した球根は親の遺伝子をそのまま引き継ぎます。そのため、日本にあるヒガンバナの遺伝子はすべて同じで、ルーツをさかのぼると大陸から稲作とともに入ってきたヒガンバナにたどりつきます。
ソメイヨシノと同じです。皆さんご存知のとおり、ソメイヨシノは江戸時代に染井村にあった突然変異のサクラを職人が接ぎ木を繰り返し増やした花木で、日本中・世界中のソメイヨシノの遺伝子は同じです。だから、早咲き遅咲きもなく、サクラの開花宣言の標本木はソメイヨシノなのです。(ソメイヨシノが育たない沖縄や奄美地方ではヒカンザクラになります)
ちなみに、オレンジ色の花のヒガンバナの名前はキツネノカミソリで、黄色ヒガンバナの名前はショウキズイセン、白花ヒガンバナはショウキズイセンの交雑種といわれています。

今年もスズラン。

毎年恒例の、かごしま環境未来館主催の地域まるごと共育講座を本日開催しました。今年のテーマも「幸せを呼ぶ、スズランを植えよう」で、昨年植えたエリアに隣接する場所に、皆でスズランを植える予定でしたが、台風の影響か雨が降りだし、スズランを植える様子を見てもらうだけになりました。
昨年植えたスズランは春に可憐な白い花を咲かせ、その後子株を出しています。時々イノシシに荒らされますが、確実に増えてきています。
園内を散策している時は雨がやみ、散策しながらアジサイの剪定方法やヘクソカズラの名前の由来等説明しました。
ヒガンバナやソテツの不思議を説明すると、「へぇー」とメモされている人もいました。
このイベントに毎年参加されている夫婦から、来年も企画してもらい「スズランの群生地を作りましょう」と有難い提案がありました。

 

くさいからクサギ

クサギの近くを通っても臭いはしませんが、葉っぱをちぎると独特の臭気を発します。臭いからクサギです。
それでも、クサギの葉っぱは食用になり、薬用としても利用されます。また、クサギの実は染料になり、青色を出せる植物は藍とクサギだけだそうです。
クサギの花も臭いのかと思い、興味本位で臭いを嗅いでみると、ほんのり甘くていい匂いがしました。
いつもは目立たない樹木ですが、花の少ない時期に、白い小花を数多く咲かせて「私はここにいるよ」とアピールしています。