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秋の味覚 うんべ

私の周りの人は皆、うんべといいますが、うんべは方言で、正式にはムベというそうです。ムベを漢字で書くと「郁子」、郁は香りがいいことを表し、子は実のことで、良い香りの果実ということです。ムベは昔は皇室に献上されていた高貴な果実です。
うんべに似たアケビは、葉っぱはうんべより小さく冬になると落葉します。また、アケビの実は熟すると皮が縦に裂けますので分かります。
私の小さい頃は、おやつはお店で買うものでなく、野山でいただく(調達する)ものでした。この時期は、山の木に登りうんべの実をちぎりポケットに詰め込み、歩きながら食べて種をペッペッとまき散らしたものでした。今考えると、うんべの播種計画に基づき、忠実に種まきを実行していたんだと懐かしく思い出しました。
過日、美味しくいただいたうんべは、食べたあとの皮と種は燃えるゴミの日に生ごみで出しました。

パンジーとビオラを長く楽しむために。

今日は二十四節気の霜降、さすがに霜の降りる時期には早いですが、季節は秋も終わる頃で、これからモミジも紅葉していきます。
これから寒くなると寂しくなる花壇に無くてはならないのがパンジーとビオラです。パンジーとビオラは、霜にも負けず病害虫にも強いことから育てやすく、昔は三色スミレといわれ原色がはっきりした花でしたが、近年ではいろんな品種が出てきたことから、この時期No1の花です。
パンジーとビオラを長く楽しむためには、肥料、日照や水やりが大切ですが、それ以上に大切なポイントは花がら摘みです。
植物は花が咲いた後、そのままににしておくと多くのエネルギーを使い種子になります。植物は花を咲かせることが第一でなく、種子を作り次の世代により多くの子孫に繋ぐことを最優先します。そうして、多くの種子を残した植物は「私の人生これで終わりー」と枯れていきます。逆にいえば、花は咲かせても種子を作れない環境にすれば、植物はいつまでも必死になり今後こそはと花を咲かせ種子を作ろうとします。そのために、花がら摘みが必要になります。花がら摘みは、花がらだけでなく根元の茎ごと、手でちぎるのでなくハサミで切ってください。
パンジーの花は食べられることをご存知でしょうか。パンジーの花はエディブルフラワー(食用花)としても人気があります。観賞用のパンジーの花は食べられないこともないですが、ポット苗のパンジーは出荷時に薬剤が使われているためにお勧めできません。料理やデザートに使いたい方は、専用の品種がありますので、そちらをお勧めします。インスタ映えするだけでなく、繊維質やビタミンも豊富みたいです。

蟷螂の斧

蟷螂の斧(とうろうのおの)とは、知っている人も多いと思いますが、中国春秋時代、カマキリが前足を上げてファイティングポーズをとり馬車を止めたことから、弱者が自分の力量をはるかに超えた強敵に立ち向かう姿で、読めても漢字で書けない故事です。

この前、園内を散策していると、交尾しているカマキリを見つけました。
メスカマキリはお腹がすいていると、交尾中でもオスカマキリを頭から食べることがあるらしいです。しかも、オスのカマキリは頭部を食べられても交尾活動を続けるらしいから不思議です。
オスのカマキリの献身的な愛にもほどがあります。私たちにはマネができません。
人とカマキリの違いは、人は家族のため社会のために生きることが絶対条件ですが、カマキリの絶対条件はただ子孫を残すことだけにあります。

蟷螂の斧の故事となる、馬車に乗っていた荘公は、「このカマキリが人間だったら天下を取るのだろうな」と話したそうです。
衆院選が本日公示されました。各党の政策論争は、コロナで疲弊した社会を「ばらまき合戦」で立て直すことがメインで、拉致問題やもりかけ問題等、国民が解決したい問題に立ち向かうカマキリ人間がどこかにいないのでしょうか。

すす病を引き起こす虫の驚くべき生態

先日、桂造園でお客様の庭を剪定していると、お客様から交通量の増加で排気ガスにより葉っぱが真っ黒になりましたと言われ、これはすす病という病気だと説明しました。
すす病の原因は、カイガラムシやアブラムシの分泌物や尿にはびこる黒いカビで、葉っぱが黒くなると光合成ができなくなり植物が弱ってきます。
すす病を予防するには、植物の風通しを良くすることと、カイガラムシやアブラムシの生態を知ることです。
今回はアブラムシの驚くべき生態を紹介します。
アブラムシはメスだけで子供を産みことができる「単為生殖」という生態で、春から秋までは卵でなく親のクローンのメスの幼虫を産みます。しかも、生まれてくる子供はすでに妊娠しています。人間でいうとお母さんが女の子を出産し、生まれてきた娘のお腹にはすでに孫娘が宿っている状況です。幼虫は10日ほどで成虫になりますので、あっという間に増殖します。
アブラムシは、植物に口針を挿入して養分を吸い取ります。少数なら構いませんが、繁殖して群れで養分を吸い取られると植物は弱っていきます。アブラムシはこれ以上繁殖できないと判断すると、今度は羽根のある子どもを産み、飛んでたどり着いた好みの植物で繁殖を繰り返します。
さらに、晩秋になるとオスと卵を産むメスが現れ、交尾して卵を産み、卵で越冬します。翌春生まれてくる幼虫はすべてメスです。
また、アブラムシはアリと共生関係にあり、アリの大好きな甘い尿を出してアリを味方につけて外敵から身を守ってもらいます。驚くべき生態です。
アブラムシを駆除するには薬剤散布が有効ですが、長期間アブラムシの発生を抑えることはできません。それよりアブラムシの完全駆除をあきらめて、天敵のテントウムシを利用した食物連鎖を考えた方が良いです。お庭の一画に天敵の住める環境を作るのことをお勧めします。

スズランを今年も植えました。

今年も4回目となる、かごしま環境未来館主催の地域まるごと共育講座を当園で開催しました。
今年のテーマは昨年同様「幸せを呼ぶ、スズランを植えよう」でした。
当初は9月4日に予定していましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止により、本日に延期されました。
昨年参加され、貴重な体験ができたと、今年も参加された方も多く、植え付け作業も手際よくできました。
鹿児島中央駅から送迎バスで参加された女性は、ここなら3密を心配することなく、久しぶりに深呼吸しましたと喜ばれました。

新型コロナウイルスの感染者数が日を追うごとに少なくなってきました。このまま収束すればいいのですが、しばらくはウイズコロナの時代が続くのでしょう。
行動制限やワクチン接種も大切ですが、私たちに出来ることはマスク、手洗い、体調管理等、一人一人面倒くさい努力しかなさそうですね。

ヒガンバナが満開です。

今年はヒガンバナが例年より早く咲きだし、今が満開です。
ヒガンバナは不思議というより、謎の多い植物です。
一部の農業大学や研究機関には2倍体のヒガンバナが存在しますが、国内のヒガンバナのほとんどが3倍体のヒガンバナです。3倍体があるということは、どかかに4倍体のヒガンバナが存在するか過去に存在していたはずです。
3倍体は普通の2倍体が減数分裂できないまま受精して4倍体ができて、2倍体と4倍体が交配して3倍体ができるらしいです。
3倍体の植物は、種子ができない代わりに大きくて病気に強く繁殖しやすいという利点があります。
私はヒガンバナがはるばる海を越えて日本に渡来した理由として、観賞用としてより食糧として持ち込まれたと考えます。
ヒガンバナの球根は有毒ですが、毒抜きすれば食べることができ飢饉の時は食べられていました 。
そして、日本に持ち込まれたヒガンバナはその有毒性から、田畑、川の土手、お墓に小動物よけとして有益性があったことから、日本中に分球を繰り返し移植されたのでしょう。

繁殖力旺盛なドクダミ

ドクダミの葉っぱには、強い殺菌・抗菌効果があることは知られており、昔から生薬として重宝されてきました。また、ドクダミ茶は健康や美容に効能があります。
私はドクダミの独特の匂いは嫌いではないですが、多くの人はあの臭いが不快だといいます。ドクダミの白い花は葉っぱが変化したもので本当の花は花の真ん中にある黄色い棒状の部分です。
ドクダミは生命力の強い植物で、伐根しても少しの根が残っているとまた生えてきます。日陰で湿気のあるある環境だと、あっという間にドクダミだらけになってしまいます。ドクダミを駆除するには、熱湯、重曹、塩等ありますが、除草剤が手っ取り早いです。ただし、これらは他に植物がない場合で、ツツジの中や芝桜の中にはびこったドクダミにはお手上げです。

前回のブログでドクダミは三倍体植物と紹介しました。普通の三倍体植物は種子を作ることができません。ヒガンバナやシャガはその美しさと有益性から人間が生息地を広げてきました。ドクダミは地下茎の延長だけでは考えられないような場所にも育っています。人間や動物がドクダミの一部を移動しない限り生育できることはなく、受粉なしで種子を作れるみたいですがその仕組みはよく分かっていません。
受粉なしで繁殖しているということは、ソメイヨシノと同じクローン植物で、一般的なクローンは病気や環境の変化に弱いイメージがありますが、ドクダミはどんな雑草にも負けない強靭な植物です。

ヒガンバナとシャガ

今日は二十四節気の白露、季節は夏から秋に変わります。
当園のヒガンバナも咲きだしました。
ヒガンバナとシャガの共通点は、原産地が中国で帰化植物だということです。それと、日本に自生しているほとんどのヒガンバナもシャガも自分では種子を作ることはできません。何故かというと三倍体植物だからです。三倍体植物は遺伝をつかさどる染色体が三組あり、私たち人間も含めて普通の生き物の染色体より一組多いため、奇数だと染色体の細胞分裂が不規則になり種子を作ることができません。自然界では西洋タンポポやドクダミも三倍体植物です。
また、三倍体植物は種子を作るエネルギーを他に回すことができるために成長が早く、バナナは突然変異で生まれ、種無しブドウは人工的に作られた三倍体植物です。この人工的な技術で三倍体ニジマスも養殖され、サーモンの仲間という名前で美味しく食べられています。
種子を作れないヒガンバナとシャガは、その美しさと有益性から人間の力を利用して自生地を広げていきました。

ジゴクノカマノフタ

キランソウは万病に効く薬草で、別名「地獄の釜のふた」とも呼ばれ、死にかけた人もキランソウの薬効で病気も治り、地獄に通じる釜にふたをして死者を通さないことから由来しています。このことから「医者いらず」・「医者殺し」とも呼ばれています。
キランソウの花をよく見ると、花びらが1枚ずつ分かれずひとつの筒になっており、その筒の先は分かれていて、唇に似ていることから唇形花(シンケイカ)と呼ばれ、シソ科の植物に共通する特徴です。
キランソウの花は鮮やかな濃紫色できれいですが、繁殖力が強く、すぐにはびこり、私たちにとってはただの雑草でしかありません。

東京2020パラリンピックも昨日で終わりました。
開会式・閉会式や車いすラグビーも感動しましたが、私が一番感動したのは女子シッティングバレーボールチームの笑顔でした。特にキャプテンの西家さんは7月下旬の交通事故でまともにプレーできない状態なのに、笑顔でチームを鼓舞していました。涙腺崩壊でした。
将来iPS細胞の研究で、失われた体の一部やその機能を回復させることができるかもしれませんが、その日まで、障がいの有無にかかわらず、お互いに話し合い、助け合い、行動する「共生社会」が大事と痛感しました。

桂花園は今日も雨だった。

今年の8月は雨の日が多いでした。特にお盆の時期は毎日集中豪雨でした。
これも地球温暖化の影響でしょうか。
当園の樹木や草花たちも、もう水分でお腹いっぱい。もっとお天とう様のもとで光合成したいと訴えています。
こんな雨の中、当園のコケたちは元気いっぱいです。毎日雨に打たれ緑色が輝いています。

鹿児島でも新型コロナウイルスが猛威をふるっています。今週は毎日感染者が200名を超えています。今はどこに行っても感染のリスクがあります。3密がほど遠い当園では、ひとりだったらマスクなしで散策できます。ヒガンバナも咲きだしました。いろんなコケたちが来園をお待ちしています。