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驚異の繁殖力 キオビエダシャク

キオビエダシャクの成虫を初めて見たときは美しい蝶々と思っていましたが、蝶々でなくガの仲間だそうです。
周知のとおり、キオビエダシャクの幼虫はイヌマキの葉っぱを爆食し、食害で枯れたイヌマキを散見します。
今年はキオビエダシャクが多く発生しています。原因は昨年が暖冬だったことが一因と思われます。キオビエダシャクは熱帯性の昆虫のため冬に死滅しますが、サナギで越冬できる能力を持った個体が増えてきたのでしょう。
キオビエダシャクの幼虫がイヌマキを枯らすほど増える理由は天敵がいないことにあります。キオビエダシャクの幼虫が食べるイヌマキやナギには「イヌマキラクトン」、「ナギラクトン」という毒性の物質があり、これを食べた幼虫も体内に蓄積されるため、このことを知っている野鳥がキオビエダシャクの幼虫を食べることはありません。
また、一般的なガの成虫は天敵から身を守るために夜行性ですが、キオビエダシャクは昼行性でしかもとても目立ちすぎる羽です。私には毒がある。’食べれるものなら食べてみろ’とアピールしているみたいです。
キオビエダシャクの幼虫を駆除するには薬剤散布しかありません。薬剤を散布する際に薬剤の希釈濃度を濃くしても効き目は変わりません。また、薬剤は成虫や卵・サナギには効きませんので、一回の薬剤散布で駆除することは難しいです。薬剤の種類によっては殺虫効果が長期間続くものもありますので、薬剤を購入時にお店の人に薬剤の特徴を聞くことをお勧めします。

 

北上するツマグロヒョウモン

芝桜を除草していると、ツマグロヒョウモンの幼虫を見かけます。
ツマグロヒョウモンの幼虫は、いかにもケバケバしく毒があるから触るなと威嚇しているみたいですが毒はありません。毒のある毛虫に擬態して天敵から身を守っているのです。
また、ツマグロヒョウモンの幼虫はスミレ類だけ食べるという不思議な生態です。
ツマグロヒョウモンの幼虫と成虫はギャップが大きすぎます。ツマグロヒョウモンは蝶々の一種です。漢字で書くと「褄黒豹紋」。オスの羽は全体的に黄色い豹(ヒョウ)がらですが、メスは羽の褄(先端)が黒いために「褄黒豹紋」と名付けられました。自然界では一般的にメスよりオスの方がきれいですが、ツマグロヒョウモンはオスよりメスの方がきれいです。
ツマグロヒョウモンはもともと熱帯性の蝶ですが、生息地を北上し続けています。理由は二つあるそうです。一つは地球温暖化、もう一つは餌が少なくなる冬季にも近年餌が豊富にあるようになりました。それは私たちが花壇に植えるパンジーとビオラです。

アジサイ 七変化

アジサイは別名「七変化」といわれるほど、咲き始めてから枯れるまで色が変化します。そして冬になってもドライフラワーとなって残ります。
その変化を楽しむのも風情がありますが、翌年も花を楽しむなら、早めに花を剪定してください。剪定するポイントは花から2~3節目の下で、よく見ると脇から新芽が出ていますので、その脇芽の上で剪定してください。剪定することでこの脇芽が伸び翌年も多くの花を咲かせます。
アジサイは成長が早く、大きくなりすぎた株は、この時期に3分の1まで切り戻すことをお勧めします。翌年は花が咲きませんが、翌々年は花を咲かせます。
アジサイの「七変化」を楽しむなら、アナベルという品種がいいです。北アメリカ原産のアナベルは、花色がつぼみのうちは薄い緑、咲き進むと白色に変化して、その後は再び薄い緑色になり秋まで咲き続けます。
普通のアジサイはこの時期に剪定しないと翌年の花の数は減りますが、アナベルは今年伸びた枝に花芽をつけるので、剪定の時期を選びません。

東京五輪まで2週間となり、新型コロナ感染拡大で観客数等問題が多発していますが、やがてはワクチン接種で集団免疫により収束するでしょう。新型コロナで私たちの生活も様変わりしました。様々な行事イベントが中止され、旅行や外食も激変しました。それでもリモートにより、満員電車に乗らなくても仕事ができ、育児や介護をしながら仕事ができ、学校に行かなくても学べることが分かりました。様々な事ができなくなったと嘆くことより、与えられた環境の中でその都度何ができるのかを考え行動するのかを、神様が試されているのではないでしょうか。
アジサイの花が七変化するように、私たちの環境も変化します。

アジサイといえばカタツムリ

梅雨といえばアジサイ、アジサイといえばカタツムリ。
アジサイとカタツムリを私たちは何げなく連想しますが、カタツムリはアジサイの葉っぱに毒があることを知っていますので、葉っぱを食べることはありません、ただ雨や風防止のために利用しているだけです。
人間もアジサイを誤食して中毒を発症したことは聞いたことがありますが、食べて死亡した話は聞いたことがありません。さすがにアジサイの葉っぱをサラダにいれませんが、季節感を出すためにこの時期葉っぱを食事の飾りに使われることがあり、それを食べた人が中毒を起こすらしいです。アジサイには毒があるといわれていますが、明確な毒性は解明されていないそうです。

カタツムリは動きが遅く行動範囲が狭いために、交尾相手に出会うことが少ないことから、交尾しなくても子孫を残せるように、オス・メス両方の生殖器を持った生き物になりました、これらの生き物を「雌雄同体」というそうです。
一匹のカタツムリは精子と卵子を両方持っており、交尾相手に出会うと顔の側面から恋矢(れんし)という槍(やり)を突き出し、お互いつき合い受精して子孫を残します。もし、交尾相手に出会わない時には、自家受精することができ、一匹でも子孫を残すことができます。
自家受精で子孫を残すこともできますが、交尾することでより優秀な遺伝子を持つカタツムリに少しずつ進化するらしいです。

 

紫君子蘭とアフリカンリリー

今日は夏至、北半球では今日が1年のうちで一番昼の時間が長い日ですね。
当園のアガパンサスも満開になりました。
アガパンサスはアジサイの花が終わりかけた花壇を華やかにしてくれるだけでなく、冬場の殺風景の花壇にも緑色の葉っぱが明るさを演出してくれます。
アガパンサスは和名を「紫君子蘭」といい、アフリカ原産から「アフリカンリリー」という別名もあります。
アガパンサスは多年草ですので、1回植えると毎年花を咲かせてくれることがありがたいです。今では、大型種やつぼみのままで花の咲かない品種等多種あります。一株でなく数株植えてみませんか。

アジサイ街道

数年前、アジサイの「ダンスパーティー」と「墨田の花火」を見たときに、なんて珍しいい品種だろうと驚いたことを覚えています。先日、園芸店に立ち寄ると、花(がく)の色・形がさらにバラエティに富んだ品種や、四季咲きのアジサイ、アメリカアジサイが並んでいました。今ではアジサイの品種は2000種を超えるそうです。
アジサイの人気がある理由は、他の植物にある「これだけは気をつけてください」という文言がないことだと思います。日照、病気、土壌等気をつけることがありません。さらに、挿し木で簡単に増やせること、土壌の酸度で花の色を変えられること等アジサイ特有の性質もあります。
当園の芝桜エリア歩道のアジサイも順調に育ち見頃になりました。
小さいアジサイ街道を目指しています。

新型コロナのワクチン接種でトラブルが続いていますが、私たちにはどうすることもできません。私たちがやるべきことは、あれこれ批判することでなく、メルケル首相が演説されたように基本的な規則をしっかり守ることではないでしょうか。喫緊の課題は「第4波」を一刻も早く収束させることが、重症化して命を失う人や生活が困窮している人を救うことになることを自覚しましょう。誰にも会わずに自宅にこもり、大谷翔平選手の活躍に一喜一憂するのもいいですが、3密という言葉がほど遠い当園でアジサイを見ながら散策するのもいいものですよ。
当園は鹿児島ICから20分です。

サルトリイバラ

サルトリイバラはツル性の落葉低木で、ツルにはトゲがあり知らずに触ると血が出るほど鋭いです。
サルトリイバラは地中深くに根茎があるために、根絶するには何年もかかる厄介な植物です。サルトリイバラはバラの仲間みたいですが、正しくはユリの仲間です。
サルトリイバラと言っても知らない人が多いですが、郷土菓子の「かからん団子」の葉っぱはサルトリイバラの葉っぱです。物を触るなのことを、かごしま弁で「かからん」と言い、トゲのあるサルトリイバラを触るなから「かからん」と昔から教えていました。
サルトリイバラの葉っぱには殺菌効果があり、食材を包む材料として利用され、団子を包んだものが「かからん葉っぱの団子」から「かからん団子」となりました。また、端午の節句に食べて、病気に「かからん」という風習もあるみたいです。
サルトリイバラの葉っぱの代わりにニッケの葉っぱで団子を包むと「けせん団子」となります。
サルトリイバラは秋になると実をつけ、この実が真っ赤で色あせしないため、クリスマスリースや生け花の材料に人気があります。

シャリンバイと大島紬

シャリンバイは枝の分岐が車輪に似ていることからシャリンバイと名付けられました。
先日、お客様とシャリンバイの横を歩いていると、大島紬のことを詳しく話してくれました。
大島紬の特徴の黒褐色の色彩は、泥で染めるだけで出せる色ではなく、シャリンバイ(現地ではテーチ木)の樹皮を煮出すことにより抽出されるタンニンと泥の中の鉄分との化学結合の結果だそうです。
幕末の薩摩藩には膨大の借金があり、調所広郷が行った財政改革、借金踏み倒し、清との密貿易、砂糖の専売制(黒糖地獄)は知られていますが、大島紬のことは知られていません。薩摩藩が奄美諸島を統治するようになり、大島紬が上納品や高値で取引されると、大島紬を強制的に生産させ、現地の人が大島紬を着ること所持することを厳しく禁じました。黒糖地獄と同じです。ある時、薩摩の役人が見回りに来た時、大島紬を秘密に隠し持っていた人が、役人に見つからないように泥の中に隠したそうです。役人が通り過ぎた後に、泥から大島紬を引き上げ洗ってみると重厚感のある色に染まっていました。このことが泥染めの技法に発展したと言われています。
さとうきびと大島紬は、薩摩藩の財政改革、その後の明治維新への原動力となりました。

大エノキにブランコを作りました。

シャクナゲ園に下りるベンチ横のタブの木に二つのブランコがありますが、受付近くの大エノキに新たにブランコを作りました。
子供たちが喜ぶだろうと思って作ったブランコですが、子供以上におばさんたちに人気で、順番待ちの時もあります。
某ご婦人は、ブランコに乗るのは何年ぶりか、いや何十年ぶりと、指折り計算していましたが、計算できないと嘆いていました。
皆様もブランコ乗りに来ませんか。童心に返れますよ。

森のシャンデリア

桜が散って寂しくなったこの時期に、エゴノキは枝いっぱいに鈴のような花を多数咲かせることから、「森のシャンデリア」といわれています。
エゴノキの果皮にはサポニンが含まれ、泡立ちやすいことを利用して昔から石鹸の代わりに使われていました。また、私の悪ガキ先輩は、サポニンには魚毒性があるので、エゴノキの実をすりつぶし川上から流し、川下で仮死した魚を捕っていました。
エゴノキは芝桜エリアの歩道に多く自生しており、芝桜エリアからシャクナゲ園に散策していただくと、シャクナゲ園にはハクウンボクがスズランを大きくしたような花を咲かせています。