トップページ > スタッフブログ > お知らせ

狂い咲きサクラ

先ほど来園されたお客様から、狂い咲きのサクラが何本もあってきれいでした。写真を何枚も撮りましたと話されていました。
狂い咲きの原因はサクラの場合、夏までに花芽ができた後、各葉っぱから出る「休眠ホルモン」により開花しません。ところが大量の虫たちに一斉に葉っぱを食べられたり、台風で多くの葉っぱが飛ばされると「休眠ホルモン」が無くなり、気候の変化と相まって開花することがあります。
それと、全部のサクラが春だけに咲いたら、気候の大変動が起こった時に種子を作れず、絶滅することになります。それを防ぐために万が一のことを想定して、春以外の時期に花を咲かせ、子孫を残そうとしているらしいです。リスクヘッジです。

ちなみに当園に今咲きているサクラは、アーコレイドという品種で年2回春秋に咲くサクラで狂い咲きではありません。
日本人にとって卒業式や入学式といえばサクラです。念願の志望校に合格した時の「サクラサク」は喜びが倍増します。
春に卒業式や入学式を行う国は少数で、日本も国際的スタンダートである秋を新学期とする教育制度が検討されています。
もし、新学期が秋になれば、アーコレイドの出番となるでしょう。

悲しすぎるキンモクセイ

今の時期に歩いていると、どこからともなく甘い匂いがすると思えば、近くにキンモクセイの木があった経験があると思います。
キンモクセイは、中国原産の雌雄異株で、日本に入ってくる際に理由は知りませんが雄株しか入ってこず、日本にあるキンモクセイはすべてオスです。花にはおしべはありますがめしべがなく実はなりません。それでもこの時期になると、黄色い花や甘い匂いで、虫たちに受粉してほしいと懸命にアピールしています。
オスセミ以上の悲話です。

 

そんなに効くのか、ゲンノショウコ

今日は秋の彼岸の入り、暑さ寒さも彼岸までと言われますが、まだまだ暑い日が続きそうです。
この時期に必ず咲くのがヒガンバナ。ヒガンバナを眺めていたら根元にゲンノショウコが咲いていました。
ゲンノショウコは、薬草で下痢止めとして重宝され、煎じて飲むとすぐ下痢が治り、その薬効がすぐ現れることから「現の証拠」と名付けられました。
そのため、「テキメンソウ」、「タチマチグサ」、「医者いらず」の別名もあるそうです。
ゲンノショウコは古くからセンブリ、ドクダミと並んで日本の三大薬草の一つです。センブリもドクダミも当園の芝桜エリアに自生しており、私にとっては厄介な植物です。
それにしても、昔の人々はどうやって薬草を見つけ出したのか、脱帽です。どかかに新型コロナに効く薬草があればいいのですが。

柳に雪折れなし

「柳に雪折れなし」とは、ご存知のとおり、普通の木は雪の重みで枝が折れますが、柳の枝はしなやかで雪の重みで枝が折れることはないことから、時には硬いものより柔らかいものの方が丈夫という故事があります。
「柳に雪折れなし」と同様に「柳に風折れなし」という言葉もあります。
しかし、しかし、先日の台風10号で、当園の柳3本はすべて根元から倒れてしまいました。それも支柱ごと倒れました。樹木医によると、柳は成長が早くそれに根の張りが追いつかず大風でよく倒れるとのことでした。
倒れた柳をよく見ると、皮肉にも枝は1本も折れていません。「柳に風折れなし」とはよく言ったものだ。感心しました。

 

庭木の王様 モッコク

モッコクは庭木の王様と呼ばれています。それは、常緑の高木で成長するほど風格がでてくることと、葉っぱに光沢があることからだろうと思います。しかも、定期的にハサミを入れなくても樹形はそれほど乱れません。
ただし、葉っぱが混みあうと害虫がつきます。モッコクにつきやすい害虫はハマキ虫です。ハマキ虫は先端の葉っぱを丸めてすみかを作りその中で葉っぱを食べます。私はハマキ虫を見つけ次第葉っぱごと指でつぶしています。このハマキ虫の分泌物や糞をエサにすす病菌が発生します。すす病菌が繁殖すると葉っぱが黒ずんですす病になり、光合成ができなくなるため木が弱ってきます。害虫を予防するには風通しをよくするために定期的な剪定をお勧めします。
モッコクは夏に白い小さな花を咲かせ、秋に実が熟すと赤い実が出てきます。この実を食べに小鳥が集まってきます。
モッコクは1年を通し、人を楽しませてくれる、庭木の王様です。

地域まるごと共育講座が行われました。

今年も3回目となる、かごしま環境未来館主催の地域まるごと共育講座を当園で開催しました。
今年のテーマは「幸せを呼ぶ、スズランを植えよう」で、参加者全員で200株のスズランを椿山の歩道沿いに植えました。
南国鹿児島で耐暑性の弱いスズランが育つのか心配もしましたが、標高が高い当園ならでの環境を鑑みてスズランを植えようと決めました。
市内から参加された夫婦は、暑かったけどすがすがしい汗をかきました。スズランの成長を見にちょくちょく来ますと話されました。
春先に可憐な白い花を咲かせるスズランの群生を想像して、大切に手入れしていきます。

 

悲しきオスのセミ

明日は立秋なのに、晴天が続き猛暑の日々です。
こんな暑い中でも、指宿スカイラインをサイクリングしている人を散見します。先日も、サイクリングしている人が当園に休憩するために立ち寄られました。その人は開口一番「ここは標高400メートルだから涼しいですね」でした。

朝からうだるような暑さに、セミが大合唱し始めると、夏の風物詩というより、うんざりします。余談ですが、セミのメスは鳴かないことをご存知でしょうか。セミのオスはメスに気に入ってもらうためだけに鳴くそうです。セミの一生は、幼虫として土の中で7年、成虫は1週間(実際は1ヵ月)といわれています。長い地中暮らしの後、脱皮してからオスは交尾相手を求めて、短い生涯を知っているのか朝から全力で鳴き続けます。これも子孫を残す宿命ならば、オスセミを応援したい気もします。
しかし、よく考えるとメスセミは自分のパートナーをオスセミの鳴く音量で決めているのか、即決できないのか疑問です。一本の木に何匹ものセミがいっせいに鳴いていることがあります。この情景をメスセミはどう思っているのでしょうか。
その前に、オスセミは自分の鳴いている音はうるさくないのでしょうか。ファーブルは鳴いているセミの近くで大砲を撃っても鳴りやまないセミを観察して、セミには耳がないと断定した話は有名です。その後セミには頭でなくお腹に耳があることが分かったそうです。セミは耳が悪いのでなく、周波数で聞き分けているみたいです。大砲の周波数は認知できなくても、オスセミの鳴く音の周波数でメスセミはこの人(オスセミ)なら一緒になろうと決めるのでしょうか。
当園の春はウグイスがよく鳴いています。ウグイスにも上手に鳴くウグイスと鳴くのがへたくそのウグイスがいます。オスのウグイスはメスに気に入ってもらうために「ホーホケキョ」の鳴き声の練習をするそうです。セミにも鳴くのが上手なセミと鳴くのがへたくそのセミがいるのでしょうか。

 

山々を眺めながらランチ

当園内には、多くのテーブル・ベンチが設置してあります。
そのテーブル・ベンチはすべて手作りで、同じものはありません。
設置している場所も、山中、芝生、コケの上等ユニークです。
設置してある場所が違えば、そこから見える風景も違ってきます。見える景色が違えば、会話も違ってきます。ゆるやかな会話は癒しの心に繋がると信じています。
自分が気にいったベンチに座って、そこから見える山々を眺めながらランチするのもいいものですよ。

鹿児島県内でも、新型コロナウイルスの感染者が急増しています。なかでも、県外への移動歴がなく、感染経路が不明な感染者も増えています。
私たちができることは、手洗い・マスクの着用という基本的なことが大事と改めて認識しました。
しかし、私自身手洗いについては、毎回30秒かけて石鹸で洗うことは少ないです。マスクは、自分が感染しないために着用していましたが、マスクの意義は、症状がない人も感染している可能性があり、周囲の人に飛沫感染させないことだそうです。
新型コロナとは、長い付き合いになりそうです。3密を防ぐ究極は、家(部屋)にこもるか、人と接触しない場所で過ごすかです。散策型の当園は、人とあまり接触しないスポットです。
休日にどこに行こうか迷ったときは、お勧めスポットです。

 

ど根性 ハマユウ

ハマユウ(浜木綿)は温暖な海岸によく自生しています。暖かい砂地の環境がハマユウに合っていると思っていましたが、ハマユウの種は海水に浮かび長期間漂流して、たどり着いた浜辺で発芽して、自生したハマユウの種はまた漂流して、その繰り返しで広がっているみたいです。
ハマユウは常緑ですが、寒さに弱く冬の霜で悲惨な姿になり枯れ、春になるとまた葉っぱを出します。ハマユウはヒガンバナの仲間で、ヒガンバナのように寒くなる前に自分で枯れるという学習能力はないのでしょうか。霜枯れするまで、光合成をして成長しなければならないのでしょうか。
きっとハマユウは南方系の植物なのに、海流にのり漂流しているうちに霜のおりる北国までたどり着いたのでしょう。

女優に浜木綿子さんがいらっしゃいます。この人の人生は波乱万丈です。それでも息子さん(香川照之さん)を立派に育てられたことは、望んでもないところに流されても、たどり着いたところで発芽して、きれいな花を咲かせるハマユウのごとく、人を感動させます。

ねむの木の花を見て想うこと。

3月21日に宮城まり子さんが逝去されました。ご存知の通り、宮城まり子さんは、障がいのある子どもたちのために、私財を投じて「ねむの木学園」を創立して、長い間学園を運営されました。凡人の私には、ただ、ただ頭が下がる人でした。
ねむの木は、夜になると葉っぱがいっせいに合わさるように閉じて眠るように見えることから由来しています。この様子は人はみんな一緒だよと思わせます。

ねむの木を漢字で書くと合歓木になります。
指宿スカイラインの樋高展望台に、美智子上皇后が皇太子妃時代に詠まれた歌碑があります。
「薩摩なる喜入の坂を上り来て 合歓の花見し 夏の日想ふ」
東京品川に「ねむの木の庭」という、バラ(プリンセスミチコ)が有名な区立公園があります。ここはもともと、美智子上皇后が育った正田家の邸宅があつたところで、公園の名前の由来は、美智子上皇后が高校生の時作った詩「ねむの木の子守歌」からきています。
その後「ねむの木の子守歌」は曲が作られ、当時の大スターだった吉永小百合さんや梓みちよさんが歌いヒットしました。美智子上皇后は作詞著作権を障碍者支援団体に譲られています。

ねむの木はマメ科に属しています。マメ科の植物は、根に養分を作る根粒菌と共生しており、養分の少ない痩せた土地でも育ちます。痩せた土地に育ちながら、この時期にきれいな花を咲かせるねむの木の花は、人をやさしくさせる力があると想いました。